私にとってバッハのインベンションとシンフォニアは
弾けたら楽しいけど、弾けるまでの道のりが長いし辛い
そんな印象でした。
(そのあとに勉強した平均律になったら、なおさらでした)
私も生徒さんには、ぜひバッハは弾いてほしいと思っているのですが
子どもの生徒さんや趣味で習っている方にとってはかなりきついようです。
楽譜をいろいろ買って弾いてみたり、生徒さんに使ってもらったなかで
バッハがスラスラ弾けるようになる、すごい楽譜を見つけました。
私が子どものころに、こんな楽譜がほしかった…
それがこちら!
黒河好子先生 著、究極の練習法シリーズです。
インベンションは、究極の練習法シリーズ④に8曲、究極の練習法シリーズ⑤に7曲、合わせて15曲全曲出版されています。
シンフォニアは、究極の練習法シリーズ⑥に5曲載っており、全曲は出版されていないようです。
この楽譜でどのようにバッハがスラスラ弾けるようになったか、詳しく解説していきます!
練習の順序
インベンションの方は
曲の軸となるメロディラインだけを弾く
↓
短いフレーズに分けて弾く
↓
1曲を通して弾く
という順番で進み、1曲を4~5回に分けて学習していきます。
シンフォニアは
曲の軸となるメロディラインだけを弾く
↓
1と2声部を弾く
↓
1と3声部を弾く
↓
2と3声部を弾く
↓
1曲を通して弾く
というふうに進み、こちらも1曲を5~6回に分けてじっくり学んでいきます。
曲の骨組みが分かる
まずはじめに、著者の考える曲の軸となるメロディラインのみ書かれた楽譜を弾きます。
↑究極の練習法シリーズ⑥シンフォニア第3番のメロディラインの楽譜です。
このメロディラインは、曲全体の骨格です。
人や家にも骨組みがあるように、どんな曲にも骨組みがあります。
インベンションとシンフォニアは、とてもしっかりした骨組みがあり、曲の骨組みを勉強するには最適な曲集だと思います。
私が子どもの頃インベンションとシンフォニアを弾いていた時は、「テーマを出して!」と先生に言われるだけでした。
なので、曲の一番初めに出てくるテーマと似てるっぽいところを曲中から探して、目立たせてみる…という感じで、はっきりとした道筋もなく練習していました(泣)
自分なりにやってみる、というのも大事なことではありますが、子どもの生徒さんや趣味で習っている方にはかなりハードルが高いです。
それなら著者の考えてくださったメロディラインをありがたく弾いた方が、曲には骨組みがあるということを、分かりやすく楽しく学習ができます。
フレーズが細かく分けられている
次にインベンションの方では、短いフレーズに分けてリピートをつけた楽譜があります。
↑究極の練習法シリーズ④インベンション第1番より
ここでの部分練習は1小節の練習だけでなく、拍から拍の練習や小節線をまたいでの練習が多くなっています。
と本書にはあります。
「曲の途中からは弾けない」「曲のはじめから終わりまでザっと通す練習ばかりしてしまう」
このような生徒さんでも
部分練習をする能力が自然と身に付きます。
シンフォニアの方は
1と2声部、1と3声部、2と3声部
と2声で書かれた楽譜がそれぞれ載っています。
↑究極の練習法シリーズ⑥シンフォニア第6番の楽譜
これはとてもありがたい!
何度も言うようですが、私が子どもの頃は、いきなりシンフォニアの原典版の楽譜を見せられました。
先生から「はい、じゃあまず1声部ずつ弾いて、それから2声で練習して、最後に3声で弾くのよ~~」
・・・(汗)
というのが一般的(?)だったので、この2声ずつで書き分けられた楽譜は本当にありがたいです!!!
装飾音符が実音で書かれている
バッハの時代の音楽は、まだ楽器も今よりずっと未発達で現代のような響きも出なかったため、トリルなどの装飾音符をたくさん使って曲を華やかにする工夫がされています。
バッハを弾くことで装飾音符の勉強ができ、ベートーベンやショパンを弾くときもとても役に立ちます。
インベンションとシンフォニアの原典版の楽譜は、装飾音符の入れ方は最初に少し説明があって、あとは音符の上に記号があるのみです。
究極の練習法シリーズの楽譜には、装飾音符が実音で書かれた楽譜と、記号で書かれた楽譜両方が載っています。
↑究極の練習法シリーズ⑤インベンション第11番より実音で書かれた楽譜
↑究極の練習法シリーズ⑤インベンション第11番より装飾音符記号バージョンの楽譜
まとめ
究極の練習法シリーズの楽譜は、子どもの生徒さんや趣味の方でも無理なくバッハを学べる楽譜です。
以上、【インベンションとシンフォニアがグッと弾きやすくなった楽譜】について解説しました。
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